金、欲、商売
Margaritas ante porcos mittere.
| 遺産相続 |
| ロスチャイルド男爵家で当主が死んだ。そしてヨーロッパじゅうか ら参列者が集まって、盛大な葬儀が行われた。 この葬儀のあいだじゅう、葬儀場の片隅で、最も高い声を上げて 泣き悲しんでいる男がいた。 葬儀が終わって、ロスチャイルド家の一員がその男に聞いた。 「あなたはロスチャイルド男爵の知り合いだったでしょうか?」 男は激しく頭を振って、いっそう声を張り上げて泣いた。 しかし、ユダヤ人は世界中に離散しているので、もしかするとロス チャイルド家の一人が、南米かどこからか来たのかもしれなかっ た。 「それでは、うちの家族の一員でしょうか?」 男はさらに胸も張り裂けんばかりに、大声を上げて泣いた。そし て泣き疲れると、顔を上げて言った。 「そうじゃないからこそ、泣いているんです」 |
| もっともあてにならない保証人 |
| 「いまのところ、金繰りで困りきってるんだ」 「なあに、そのうちに神様が助けてくれるさ」 「それはわかっているんだ。だから神様の保証で、それまでちょっ と融通してくれないか」 |
| 悲しき条件反射 |
| 登山狂のブラウとグリーンがアイガー北壁を征覇しようとしたが、 200メートルばかりよじ登ったところで足を踏み外し、滑り落ちて しまった。幸いなことに、ザイルが岩の先端にひっかかり、二人 は空中に宙ぶらりんとなった。 スイス救援隊のヘリコプターが飛来して、ラウドスピーカーで二人 を激励した。 「こちらはスイス赤十字救援隊です・・・・」 二人は声を揃えて答えた。 「寄付はもう済んでますよ」 |
| 動かぬ証拠 |
| レストランで、客がボーイ長に向かってたずねた。 「きみんとこの調理場で働いていた、あのブロンドの可愛い子は もうやめたらしいね」 「お客さん、よくご存知でございますね」 「なあに、今日のスープにはブロンドではなく黒い毛が入っている からさ」 |
| 金に目がくらむ |
| ある男が両替やの店先の金を盗んで逃げた。 役人がその男を捕らえて、 「大勢の人が見ている中で、どうして人様の金を盗ったのだ」 と、詰問すると、その男は、 「金を盗るときには、人なんか目に入らず、金だけが見えたんで す」 と答えた。 |
| 成金 |
| にわか成金が、贅を尽くした書斎をこしらえ、書画骨董のたぐい をずらりと並べて悦に入っていた。ある日客が来たので得意に なって、 「この中に、もしふさわしくない物があったら、遠慮なくおっしゃっ てください。さっそく取り替えますから」 と言った。すると客は、 「どれもこれも、みな見事なものばかりですが、ただ一つだけ取 り替えた方がよいと思われるものがあります」 「それは何でしょうか」 「あなたです」 |
| へつらわない |
| ある金持ちが、威張って貧乏人に言った。 「誰でも皆私にへつらうのに、おまえはどうしてへつらわないん だね」 すると貧乏人が言った。 「あんたが金持ちだろうと何だろうと、私には何の関係もないこ とだ。それなのになぜ、へつらわなければならないのだ」 「もし私が、おまえに財産を半分わけてやったら、おまえはへつ らうかね」 「半分くれたら、あんたも私も同じ金持ちじゃないか。なぜへつら わなければならんのだ」 「それじゃ、もし私がおまえに財産を全部やったら、おまえはへ つらうかね」 「そうすればあんたは一文なしになり、私は大金持ちになる。私 があんたにへつらうことはないじゃないか」 |
| 不精者 |
| 泥棒がある家へ押し入ったが、貧乏な家で何一つ取るものがな い。そこで戸を開けたままで出て行こうとすると、貧乏人が寝床 の中から呼び止めて、 「おい、君、戸を閉めていってくれよ」 と言う。泥棒が、 「なんて不精な奴だ。だからおまえの家には何もないんだ」 と言うと、貧乏人は、 「一生懸命に働いたところで、おまえに盗まれるんじゃつまらん からな」 |